療育を決めた時―感覚統合(2歳5ヶ月)
~療育への期待~
随分前の記事で
let-me-pick-you-up.hatenablog.com
発達相談をした結果、療育を受けられる事になった経緯を書きました。
しかし、実際には通い始めるまでに少し時間があった為、私なりに出来る事を模索しながらアプローチをし始めた・・・といった経緯を前回まででお伝えしてきました。*1
そうして模索していく中で、
当初は主訴として”言葉の遅れ”を訴えての療育希望であったのですが、息子にとって
”言葉とはどういった役割なのか?”を根本的に理解させていく事が本当に必要な事なんじゃないかなぁ・・・
という事に気付き始めました。
『遊び道具を取って欲しい』
『一緒に遊んで欲しい』
『お腹が減ったり疲れた気持ちを理解して欲しい』
そういった事を言葉でなくても表情や何かでまずは表出する事そのものに弱さを抱えている事を私なりに理解していったからです。
余談ですが、日本語(いえ言葉の概念や機能というのでしょうか?)ってすごいなぁと思う事があります。
ブログを引っ越す以前の記事で『内部要求の掴み取り』というお話しをさせていただいた事があります*2。
『内部要求の掴み取り』とは自分の体内に起こった要求などを脳で適切にキャッチ出来る能力の事を私自身が勝手にこう名付けてしまった訳ですが(^^;実はこうした感覚は日本語ではある熟語で表現出来ちゃうんです。
そのイラストをこちらでも掲載させて下さいネ。
よくよく考えればこれはつまり『感知』を図式化したイラストなんですよね。
感知とは感じている事を知る事で、感じているだけではこのイラストにはなりません。
自分がお腹が減ったと感じている事に気付く事が出来て始めて
「おなかがへった」
と表出出来るのかな?と思うのですが、息子の場合この『感知』の多分”知”(イラストの②にあたる部分)が最も苦手なのだろうとこの頃アプローチを通じて薄々気付き始めたのです。
ですので、言葉はツール・・・。
息子にとって療育をお願いしたい部分は、そういった言葉も含めた様々なツールを使いこなす能力を促す事・・・ものすごく感覚的な難しい分野になると思うのですが『感覚統合』という分野でのプロのアプローチをお願い出来たら・・・と考える様になりました。
~療育希望を伝えてみる~
そんな事を考えていたある日、発達センターの担当の方から療育内容についてのご連絡がありました。
「言葉の遅れを気にされているとの事でしたが、言葉の教室は人数が多くて暫くお待ち頂く事になるかも知れません。」
と言われましたので、渡りに船とはこの事。すぐに
「あの、感覚統合の教室はございますか?もしそれに相当するものがあればそちらを受けさせてみたいと思うのですがいかがでしょうか?」
と伝えました。
(私が素人目に息子には感覚統合が向いているのではないか?と考えていますがそれは間違っていませんでしょうか?という意味も含めての伝え方をしました。)
すると
「え、感覚統合ですか?あります。そちらなら多分すぐご案内出来ると思います。」
とお返事があり、トントン拍子で療育へのお話が決まりました。
ずっと息子と二人で模索しながらやってきた不安感から解放された気分でした。もう二人で頑張らなくても良いんだ・・・、と。
~プレに報告する~
そして当時通っていたプレスクールに、以前実施した発達検査の結果と療育を受ける予定などを正直に報告しました。
どうなるかなと少し不安ながらの報告でしたが、そんな事は心配無用でした。
それまでも一生懸命息子に手厚い対応をして下さっていたプレの先生方でしたが、尚一層息子の特性に合わせてご対応下さる様になりました。
「お子さんに、まず5分着席出来る様に促したら頑張って座れました!」
とか、
「スプーンの持ち方を少し変える様に伝えたら、頑張ってくれました!」
と、今の息子にとって難しい点とそれに対する息子の努力、それらを評価した事等を毎回教えて下さるのです。
こうしてプレでも精一杯のご支援を受けながら伸びを見せていく息子。
しかし先生方に全て任せておけば良い、とは私は思えませんでした。
それはいつか卒業したらまた息子と二人で頑張らなければいけない日がくるでしょう。その時に『どう解決していけば良いのかわからないわ・・・。』と思う事が予想されたのです。
そうならない為にも独学で勉強しそれを実践してきたのですが、全て自分の推察や想像で進めてきた事。
『正しい対応を私は出来ているのかどうか?』
という不安感が常にありました。
そういった意味でも始まった療育は息子だけでなく私の心理面を大きくフォローし、支えて下さる存在となりました。もし対応方法が不安な場合は療育機関に相談出来るという安心感が出来たからです。*3
~療育を受けてみる~
どんな療育を受けたかまでの詳細な内容は控えようかなと思いますが、つくづく思うのは
「何と先生運に恵まれた子なんだろう!」
という事です。
私が考えていた事、
これまでに気付いた事、
気付かなかった事、
全てを把握されているかの様なフォローをして下さる先生にこの療育で出会えたのでした。
で、当時はまだまだ指示に従えない事や言葉の拙さもあったのですが上手に遊びに誘って下さったり切り上げるタイミングを見せて下さったり。
すこし成長するにつれ、これが本来の息子なのかな?と思える様な性格の地の部分が出る様になってきたのですが、当初に比べてだいぶ元気で(やんちゃ?と言った方が正しいかもしれません(笑))多弁で(口の多動が随分目立つ様になりました(笑))多動になった部分にも上手く合わせ、それに対する問題点を私に見せて下さいます。
そんな先生に対し、私の方も日々の問題点を先生との遊びの中で出していきます。
息子とのやり取りを先生に見ていただく事で課題を一緒に考えていただいている、と当時は感じておりましたし、そうしたやり方を最後まで続けられることが出来ました。
感覚統合は遊びを通じて子どもの苦手な部分にアプローチしていく方法なのかな?と思います。
例えば指示に従う事が難しいタイプの子どもへは、視覚優位の子ならイラスト等を用いて今から遊ぶ内容の説明をして、一緒に遊ぶ内容を理解させる事からはじめ、その後徐々に耳からの説明だけでその場に適した行動を自分で選択出来る様に促していく、といった手法をとるなど、その子その子の課題を感覚面を含めながら一つづつ対応していく、といった感じでしょうか。
その他にも感覚へのアプローチとして足の裏や背中など見えにくい部分の感覚への理解を促して自分の体のパーツの動きを確認したり、そういったパーツを動かす訓練をしたりという内容になるかと思います。(もっと沢山の内容がありますが、詳細は割愛させて下さいませ。)
毎回同じ様に見えても、子どもの一ヶ月はとても大きな期間です。先月出来なかった事が次の月には出来る様になっていたりします。それがほんの些細な変化でも、その小さな一歩の為に子どもの心の中では大きな葛藤があり、それを乗り越えて不安だった動きへの一歩を踏み出していく過程がはっきりと感じられます。
そういった小さな変化を私と同じ様に感じて下さる先生の存在に本当に感謝の毎日でした。
こうして療育を始めた結果、息子は急激な成長みせはじめていくのでした。
それでは次回は、「おしまい」の繰り返しや「ダメ」という語への恐怖感をお話し出来ればと思います。
*1:『発達の凸凹への対応』シリーズ、『感覚過敏・鈍麻への試み』シリーズ、『遊びをせんとや…』シリーズです。
*2:そちらについては後日サブブログにUPさせて下さい。
*3:今となれば、何が正しいかなんてあまり気にしなくて良いのだと思っています。ただごく当たり前で、一番丁寧な接し方や育児を心がける事・・・つまり発達障害の子にとって望ましい育児は定型発達の子やどんな子にとっても最良で最適の育児である事を心がけるだけで良いのだと思います。どんな子にとっても寄り添い同じ目線に立つ事は決して悪い事ではないと今は信じています。
ただ、当時は発達障害の子どもに対してしてはいけない事はどんな事なのか、定型発達の子とどう異なる教育をしていけば良いのかばかりを気にしていました。知らなければいけないのは、その子が何が苦手なのか、何が好きなのか、それって別に特別な事ではなくごく当然の事よね・・・と息子に教えてもらい今に至ります。