ぎゅっぎゅっして!ゆっくりがんばる成長日記

子どもの発達や成長について気付いたこと、感じたことを。 忘れないための備忘録的なブログです。

様々なパニック(2歳7ヶ月~)

『パニック』と聞くとみなさんはどんなものだと想像をされますか?


発達障がいについての本等では『パニック』という言葉がよく出てきますが、私は息子が生まれるまで正直ほとんど意識してこなかった言葉です。

 

顔文字で表現すると、
『o(゚д゚o≡o゚д゚)o』 こんなのとか、
『ヾ(゚ロ゚*)ツ三ヾ(*゚ロ゚)ノ タイヘンダァ!!』

こんな程度かなと思っていました。

 

息子をみているウチに『パニック』って私が思っているものだけではないのかもしれない、という理解に至ったのですが、その経緯等をお話をさせて下さい。

2歳7ヶ月~3歳頃までの話です。

 

 

~運動会の日の事~

秋になり、当時通っていたプレスクールで運動会がありました。


雨天への対応もあってか、プレの園庭ではなく近隣の体育館で行われました。

 

お遊戯等の練習も事前にあり、それなりに準備をしてから当日を迎えたのですが・・・当日、運動会が始まってみると終始大泣きに暮れたのでした。

 

ずっと先生方がどなたかあやして下さるのですが、泣き止む事はなく終わってしまいました。
唯一救われたのはずっと泣いていたおかげ(?)で多動でのうろちょろが無かった事でしょうか。

 

ひょっとするとうろちょろする事も出来ない程のパニックだったのかもしれません。


『なにが起きているのかわからないよーーーー!』
『ボクどうすればいいんだよーーーー!』

 

息子にしてみればこんな気持ちだったのだと思います。ほとんどの時間座り込んだまま激しく泣き続けました。(まぁ、パニックと言われればそうかな?という感じの出来事かと思います。)

 

事前の練習等では、”運動会”とはどういったものかを想像する事が出来なかったのでしょうね・・・。(今になってわかる事ですが、”予測”や”予想”といった心の準備が足りなかったのだと思います。)

 

こうして息子の人生初の運動会は終了しました。

 

 

~ハロウィン、クリスマス発表会等~

運動会が終わり、今度はハロウィンパーティーがありました。
こちらはいつもの教室内で、母子共に仮装して参加するイベントでした。

 

私がいたからか、運動会の様に終始大泣きという事はありませんでしたが、集団での写真撮影等大人+子どもが集団になる瞬間でまた大泣きしてしまいました。

おそらくいつもと同じ教室だった事でまだ落ち着いていられた方なのかもしれません。が、こうした出来事をきっかけに”いつもと違う事””場所”自閉症に関する一つのキーワードなのかも?と私自身が気付き、留意するようになり始めました。

 

『なら、初めての事に遭遇すればまた同じ様な反応をするんじゃないかしら・・・?』

そしてこうした私の予測通り、次のイベント・・・クリスマス発表会でも運動会の時と同じ様な状態になりました。

 

クリスマス発表会は園外にあるホールで行われたのですが、初めての場所でした。発表の練習は事前に何度も園で練習していた様ですが、結局舞台の上に座り込んだまま激しく泣き続け、先生に手取り足取りと補助して頂きながら演目を終えたのでした。

 

ですが私自身は予想が当たった事で深く悩む事になりました。

”予想した通りだったのに、対応出来なかった。”
”息子に反映させてやれなかった”という思いです。

 

『私に知識が足りない・・・知恵が足りない・・・』
『いつもと違う事が苦手、いつもと違う場所が苦手、練習では本番を想像出来ない。もっと本人が客観視出来るツールが必要なハズ・・・。』

 

初めて経験する事を事前に予測出来る”何か”を探し始めました。

 

 

 

~プレでの日常等 別のパニック~

発表会等では激しく泣くかたちのパニックでしたが、一方では別の(恐らく)パニックがみられる事もありました。

例えば、
・先生と子ども達だけの状態で急にダンスが始まった瞬間や、
・教室から別の広いホールの様な何もない空間へ移動した瞬間、
・私と息子の二人で良く晴れた日に暗い部屋から室外へ出た瞬間などです。

 

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目の奥は笑っていない笑顔(←難しい説明ですみません)でヘラヘラしながら走り出すのです。

時には他人を押しのけたり、とにかく制御が利かなくなる」という表現が一番ぴったりくる気がします。

 

これが困った事に・・・他の方から見れば”楽しそうに遊んでる”様にしか見えないと思いますが、何かが違うのです。

私や先生の声が一切耳に届かなくなり、一度そういった状態になるとその後数時間は指示が通りにくい状態が続く様な様子が見られました。

 


こちらについての対応策は全く検討がつかなくて、相当悩んだ事を思い出します。

 

 

~それぞれの対応策~

結局、初めての経験で激しく泣くタイプのパニックには事前にイベント等のビデオを見せる事である程度解決出来る様になってきました。

 

イベントの映像に近い物をネットの動画サイト等で探すか、動画がない場合は園の資料等を探して過去の写真を息子に見せる様にしました。
(そういった写真もない場合は、手書きのイラストを描いてみせました。)

『これから起こる事を予測出来る様に。』

『行事の全体像を掴み取りやすくなる様に。』

『どんな事なのかを本人がイメージしやすくなる様に。』

という思いからです。

 

 


そして運動などの時間での笑顔の逃走は、”quiet time”(静かにする時間)の導入です。

 

2つ通わせていたプレのうち、同じ様な運動の時間があったのにインターナショナルスクールへ通っていた日は帰宅後も落ち着いて生活をしていたので担任の先生にお話しを伺うと、

「運動後に室内に戻ってから静かに沈静化する時間を設けているんです。それ(が良いの)かもしれませんネ。」

と教えて下さいました。

 

これは息子だけでなく、他のお友達もみんなで一緒に室内を暗くして静かに過ごす時間を作っているそうなのでした。

『なるほど、そういう訳だったのね・・・。』

という思いを今でも忘れられません。

 

外で興奮した後は沈静化の時間を挟んで別の行動に移るというのがとても有効である事を理解しました。(逆に外遊びで制御がきかない程に走り回る事はとりあえず仕方なし・・・十分に安全に配慮した上で思いっきり体を動かすメリットを選択するという事かな?と思います。)

 

それから、外へ出た瞬間に一人で走っていく事についてはパニックと言えるのかどうかはわかりませんが*1、走る事によってより興奮が増していく事も考えられました。
ですので、まずは私と外歩きの時に繋いだ手を振り切って走り出さない練習を目指す様にしていきました。(練習内容についてはまた別に書かせていただければと思います。)*2

 

 

 

~ヘラヘラ笑いパニックに気付いた時の詳細について~

『”ヘラヘラ”と笑いながら逃走し、数時間は制御が難しくなる事』を”もしかしたらパニックかも”と気付いたのは次年度の幼稚園通いに向けて通わせ始めたもう一つのプレでの出来事からでした。

 

そちらのプレでは保育中に何かスイッチが入ってしまうのか、笑って走り回り指示が通りにくくなってしまうというお話しを先生から受けていました。

それにプレが終わった後もしばらく私の話も聞いてくれず、帰宅するまでも児童館等へ長時間寄り道をしたがったり帰宅後もなかなか昼食をとりたがらなかったりと私が苦しむ事が増えたのです。

 

『そういえば、1歳代で何度か連れて行った児童館でも同じ様な事があったなぁ・・・。』

と思い出し、状態を整理して考えると・・・これは一種の”パニック”なのでは?と思い当たったのです。


腑に落ちなかったのはパニック状態なのに”ヘラヘラ笑う”という表情の不一致でした。

というのも、パニックといえば泣き喚いたりといった何らかの表情変化があるという私の思い込みがあったからでしたが、

『もしかして表情を作る事が出来ない程の混乱なのでは?

それにこの子にとって表情は生まれながらに獲得しているものではなく後天的に獲得する技術であるとしたら・・・?

という考えに行き着きました。

 

うちの子は対象物の輪郭(アウトライン)を真っ先に見てしまう傾向にあるのですが、もしそうした事が関係していて、表情の獲得が遅れているならば・・・あり得る事なのでは?と思えてきたのです。

 

とある知恵袋サイトに

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

人が笑う時に頬が上がるけどこれは先天的なものかどうか?を質問された内容で、先天的なものというお話しがあったのですが、
『人間はくすぐられれば誰でも同じような顔をして笑います』という回答の一文を見た時に「あっ・・・」と思いました。

 

そうです、感覚の過敏さ・鈍麻さがやはり関係しているに違いない!と思ったのです。

 

くすぐり等元来ある通常の感覚と思われる事に対して通常に入力(この場合”くすぐり”)しても、正しい出力(この場合”笑いながらくすぐったがる”)を得られる事が息子には少なかったのです。

この突拍子も無い考えをうまく他人に説明する自信がなくて、当時イラストを描いて整理しました。

 

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少しだけ説明させて下さい。

一番左に不安になる何かがあるとします。

それを見ると普通は頭の中で不安を伝える物質が出て、赤い線にあるようなそれに見合った行動(大人に通知したり守ってもらおうとする等)をすると思います。

でも息子の場合はその神経伝達物質をうまく受容できないなど、正常な脳の働きが阻害されてしまい、緑の線にある様な逃避行動に出るのだと思いました。(ただしこれも普通ならヘラヘラ笑いではなく困り顔になると思います。)

 

試しにこのイラストを夫に見せると

「ふーん。」

の一言で終わったので整理がついたか自信がなかったのですが、 考えを自分なりにまとめ上げ、その問題が発生した方のプレの先生にお話しした所、

「そうです!息子さんのあの行動は確かに”パニック”と思えます!」

と妙に二人で納得したという経緯がありました。

以降はこちらのプレでもパニックを事前に予測して回避していただける等の適切な対応によって徐々にヘラヘラパニックも減っていったのでした。

 

こういった事から、息子に表情を教えていかなくてはという思いが発生しました。
そして、視点を相手の輪郭→顔の中心へ移行していく必要性を改めて強く感じたのでした。


また、この件を通じてこうしたちょっとバカげた考えでも出来るだけ整理して息子に関わって下さる先生方へ伝える事の大事さも理解していきました。

 

 

 

 

 

 

 

*1:おそらく固有感覚の位置覚への刺激を好む傾向があるのだと思います。息子の場合特に下り坂を駆け下りる時に太ももや大腿骨にしっかりと力が伝わる感覚が大好きな様でこうした行動に制御が効かなくなる傾向にあったのだと思います。(もちろんプレで何やっているかよくわからないパニック感からの走り出しだった事もきっとあったかと思います。)

似たようなエピソードとしては↓の記事で2歳当時の山登りでは制御が効かない状態だった事をお話しさせていただいた事がありました。

let-me-pick-you-up.hatenablog.com

当時は今よりも前庭感覚や固有感覚といった感覚への刺激を求める傾向にありましたので、こうした事は日々たくさん・・・ありました。

 

 

*2:結局こうした訓練を経て外歩きで手を離しても安心して飛び出さない様になってきたのは3歳半頃でした。といっても4~5歳の頃はまだ

「外へ出て周りが見えなくなる程興奮したり走り出さないか?」

と聞かれると100%とは答えられない状態ではありました(笑)が、さすがに小学生になった今ではほぼ大丈夫です。

何が作用したのか?という分析があまり出来ていないのですが、

『言葉の理解』

『愛着関係』

『(”みんな”を対象にした)一斉指示があるという事への理解』

こうした様々な理解や経験を通じて・・・ある程度の飛び出しは治まっていったのだと思います。