感覚過敏・鈍麻への試み 皮膚 後編(2歳4ヶ月~)
~ボディイメージの強化~
さて、皮膚の過敏/鈍麻さへの模索の続きです。
『感覚に訴求する事って・・・他に何かあるかな・・・?』
毛布が意外に効いたので他にも探してみました。
そういえば息子はスパッツやレギンスといった、くるぶしまでのタイツの様なぴったりとした物が大好きだと思い当たりました。
それに偶然かもしれませんが、、、
スパッツの時は何となく指示が通りやすい気がするのです(^^;)何となくですョ
この現象って・・・よく発達障がいの方は全身のパーツの感覚がわからない、とお聞きしますがその表れなんじゃないかな?と思うんです。
そうそう、確か
『自閉っ子、こういう風にできてます!』(著作:ニキリンコさん、藤家寛子さん 出版:花風社)
の中で発達障がいの方が自分の体を動かす場合は意識して脳から指令を出して動かしているといった事をおっしゃっていたかと思います。
つまり、
全身のボディパーツの感覚の希薄さ≒ボディイメージの弱さ
といった事なのかな?と理解したのですが、うちの息子も似たような部分があって、ちょうどその弱さをスパッツが補ってくれているのでは?と思いました。
↑こんな風に圧がかかると自分の境界線がはっきり感じられるのかな?と思ったのです。
私が息子を見て感じた事ですので正しい事かどうかはわかりませんが、息子の場合、背中や後頭部、足の裏といった自分の目で見えない部分や頭から遠く離れた脚などの感覚を掴み取るのが苦手な様でした。
それがこうした補助によってボディイメージがはっきり掴めると、体が自由に動く感覚がするのかな?と思うんです。
思いのままに動く、というより腕や足が動いている感覚が上手く掴み取れると、自分の動作に不安を感じなくても済みますし、そうした無駄な気を使わなくて良くなる分、他の事に集中できるという事なのかなと思います。
『ママの言っている事がきちんと耳に入ってくるョ。』
『何となく今日は体が動きやすいョ。』
スパッツを履くとそんな前向きな気持ちにさせてくれる様な気がしていました。
そしてこうした体が自由に動く喜びに気付いていく事は、息子が苦手だったダンスやお遊戯といった模倣が必要な全身運動へも興味を持たせてくれる様になりました。
子どもには多かれ少なかれ自分の体を動かす喜びがある様に思うのですが、息子もこうした事を経て徐々にそうした喜びを表現する事を覚えていきました。
~水は全身の境界線をはっきりと感じさせてくれる~
わざと水道の水を流しっぱなしで手のひらに水圧を当てて楽しんだり、お風呂の中だと驚くほどの記憶力を発揮したり、プールが大好きだったり。
思えば随分前から息子はこうした特徴を示してくれていたのでした。
考えてみれば確かに水に浸かって水圧が全身にかかると、普段より自分の体をはっきりと感じる事が出来ますね。
この事に気付いてからは、夏の暑い日は積極的に水遊びを取り入れたり、3歳後半からはスイミングも習い始めてみたりなど、日々の中に水との触れ合いを持つようにしています。*1
そうそう、水といえばじゃあシャワーはどうかと申しますと、シャワーはどちらかと言えば最初は嫌いでした。
一部だけ濡れる感覚や、粒が当たる痛さが嫌なのでしょうね(^^;)
それも少しづつ弱めのシャワーから慣れさせていき、いつの間にか楽しさの方が勝った様です。
水圧は好きだけど、濡れる感覚過敏とはまた別問題らしく、水泳でも泳いだり背中に水圧を受ける事は大好きだけど、頭をつけて潜るのは非常に嫌がるという難儀な状態(笑)まだもう少し時間がかかりそうです。
~過敏><鈍麻~
乳幼児の頃は抱っこを毛嫌いした息子でしたが、3~4歳の頃にはどんな抱っこ(前向き、カンガルー抱っこ等)でも大丈夫になりました。小学生になった今はさすがに20kgを長時間抱っこするのは難しいですが、相撲ごっこなんかで持ち上げてやると楽しそうに喜んでいます。あんなに嫌がっていた頃が嘘みたいですネ。
当時こうした皮膚の過敏さについて誰かに話す時、たとえ話として
「息子は皮膚の一枚分を私のお腹の中に忘れてきたかの様です。」と例えておりましたが、今はずいぶん過敏さが薄らぎました。(むしろ鈍麻の方がまだ残っているかも?)
学校で誰かと不意に接触したり、手をつながなくてはいけない場面ではまだまだ厳しい様ですが*2、素材さえ気を付けてやればタートルネックの服も着れますし、タグもあまり気にしなくなってきました。
あ、一つだけ。
あるあるですが、そういえば靴下は・・・おそらく一生嫌がるカモ(笑)しれません。学校から帰るとすぐに脱いでしまいます(^^;)
そうですね、例えば”指先の過敏さ”については、今後の園や学校生活の事を考えて
・爪切りを少しづつこまめに丁寧に繰り返す事で慣れてもらう
・指先に何かが当たる感覚を砂場の砂の代わりに”お米をカップで計量”して、粒の感覚を覚える
・糊の感覚になれる為にスライム遊びをとりいれる
などに取り組んできました。
しかしまぁ、靴下やそれ以外の事については生活にあまり支障が無ければこれ以上無理をしてまでは過敏さや鈍麻さに対してアプローチをしていく必要はないかなと考えています。
不快な感覚は出来れば幼い間に改善してあげられる方が、その後の長い人生において少しでもQOLの向上が見込めるとは思うのですが、、、まぁ、これまで随分頑張った気もしますので今は少し落ち着いて見守っている所です。
*1:スイミングを習い始めた最初の日の帰りに、生まれて初めて「お腹が減った、何か食べたい」と息子が言ってきた事が今でもとても印象に残っています。水から出ると自分の体内のステータス変化がはっきりとわかった様子でした。改めて水圧の効果を感じた一件でした。
*2:そういえば2歳過ぎた当時、実はまだスプーンの自立が出来ていなくて大変困っていたのです。というのも持ち方の練習をする際に息子の手を握ると極端に嫌がって手を取って教える事が困難だったからです。
それでもプレの先生が何とかスプーンの持ち方を教えて下さり、2歳3ヶ月でようやく自立したのでした。
内心『先生ごめんなさい、本当に感謝します。そして以降は出来るだけ家庭で色々な自立に向けて積極的に取り組んで行くようにしますね。』と心に誓った事がありました。